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一柳氏(書籍『帰れざる川』著者)訪問

日時:2014年12月14日
参加者:大野、佐藤(量)
場所:一柳氏御自宅

 2014年12月14日(日)に一柳淳子さんのご自宅を訪問し、満洲に関するお話をきかせていただいた。一柳さんは、11月2日に私たちが開催したシンポジウム「終わらなかった戦争」にご来場くださり、その際にご家族の満洲体験についてお聞きしたことが今回の訪問のきっかけである。

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       年の瀬の訪問となりました

 一柳淳子さんご自身は満洲体験があるわけではないが、一柳さんの母方の祖父が日露戦争後に満鉄の鉄道建設に関わっていた。とくに線路の下に敷く「枕木」になる材木を鴨緑江上流で伐採し、筏で運送する作業の責任者だった。祖父は材木の扱いに長けた奈良県十津川村出身者を300名招集して、祖母とともに新義州に渡ったという(新義州は、現在は北朝鮮の都市であり、鴨緑江をはさんだ中国との国境の町である)。一柳さんは、こうした大陸での生活について、子供のころから何度も祖母に聞かされてきたという。その話は、その後愛媛新聞の新聞小説として連載されることになり、1991年に平河出版社から『帰れざる川』として刊行された。
 大阪生まれの一柳淳子さんは、戦時中には仙台に疎開して東北大学で学び、宮城県庁に就職された。県庁時代には代議士の秘書を務めたことから、その後も政治家との親交も深く、ご自宅には多くの著名政治家といっしょに並んだ写真が数多く飾られていた。ご主人である一柳博志氏はNECの重役を歴任された人物であり、アメリカ政府との交流もあった。ご夫婦ともに政治家との親交が深く、『帰れざる川』の刊行にあたっても、数多くの政治家から読後の手紙が寄せられていた。なかには総理経験者からの手紙もあり、いずれは「歴史史料」になるかもしれない貴重な手紙を拝見することができた。

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一柳淳子著『帰れざる川』
http://www.hirakawa-shuppan.co.jp/pickup/index.html?action=search


作成日:2015年1月25日            文責:佐藤量

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「満洲の記憶」研究会

Author:「満洲の記憶」研究会
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 私たちは主に、満洲に関係する様々な「記憶」を収集し、より広い視点から満洲の歴史をとらえることを目標とし、結成しました。日本国内にいる満洲体験者へのインタビューや体験記・回想録、帰国邦人団体会報の収集などを中心に行い、定期的に勉強会・報告会を開催する予定です。そして、様々なかたちで満洲の「記憶」をより多くの方々と共有し、皆様と共にその歴史について考えていく研究会にしていければと思います。
 このブログでは、研究会の日頃の活動内容や研究会情報などを紹介していきたいと思います。今後より多くの方々にご覧いただければ幸いです。皆様の貴重な情報とご意見をお待ちしています。
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